平成23年3月11日午後2時46分
宮城県沖を震源と知る地震に端を発する「東日本大震災」が発生し、宮城県内の神社も甚大な被害を被った。
この大震災の被害実態と宮城県神社庁をはじめとする関係諸団体等の復旧復興に向けた懸命の取り組みを、震災から10年が経過した今、振り返ってみる。
マグニチュード9.0 最大震度7(栗原市)
最大浸水高19.6m(南三陸町)
最大遡上高34.7m(女川町)
浸水面積 327km²(東日本大震災における全浸水面積の60%に相当)
◇神社庁内に災害対策本部を設置
◇被害状況の把握と関係者の安否確認
◇「災害支援物資搬送ネットワーク」「支援物資搬送拠点神社」を設置。以後、拠点神社を基点に支援物資等を被災地域への搬送が行われた。
◇神社本庁による現地調査が始まる
◇県外関係者等の見舞・視察が本格的に始まる
◇県内外の関係団体等による、被災地支援活動が本格的に始まる。
本 殿 全壊・流失 53社
幣 殿 全壊・流失 39社
拝 殿 全壊・流失 54社
社務所 全壊・流失 30社
手水舎 全壊・流失 35社
神輿庫 全壊・流失 17社
その他 全壊・流失 155件(神楽殿・境内社・末社等)
工作物 全壊・流失 1422件(鳥居・狛犬・灯籠等)
震災により社殿が滅失した神社跡地に、神社名を記した標柱(地上160センチ・地下50センチ)を立て、周囲には四垂をつけた注連縄を張り巡らした「御柱」と称する祭祀施設を設置した。この「御柱」は、ただ単にその場所が神社跡地であるということを示すだけでなく、地域住民の心のよりどころとなるような礼拝施設として設置した。
尚、資材等の手配は全て神社庁が行い、設置作業は災害対策委員や神道青年協議会の会員等が宮司・総代等の立ち合いのもとで行った。
当初、震災で社殿が倒壊した神社或いは津波で流出した神社の再建は困難を極めた。
そのような中、神社本庁からの災害復興支援金と、伊勢の神宮からヒノキの支援木材が無償で提供されることとなり、更には支援木材の運搬加工費用も神社本庁で負担されることとなったことから、これらの支援制度を活用し、宮城県神社庁では神社への負担を負わせることなく社殿再建を図る「被災神社社殿再建計画」を策定した。
策定段階では、神社本庁内に事務所を置く日本建設工藝設計事務所の全面的な協力を得て基本設計図面を作成するなど計画を取り纏めた。
この社殿再建事業により、県内で18社の社殿を再建することが出来た。(18社の再建神社については「社殿再建神社一覧」に掲載)
神社名 | 所在地 | 備考 |
吉窪神社 | 仙台市宮城野区岡田字浜通 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
神明社 | 仙台市宮城野区蒲生字八郎兵衛 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
高砂神社 | 仙台市宮城野区蒲生字町 | |
五柱神社 | 仙台市若林区藤塚字屋敷 | |
新山神社 | 石巻市雄勝町雄勝 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
五十鈴神社 | 石巻市雄勝町分浜字波板 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
葉山神社 | 石巻市雄勝町大浜字大浜 | 日本財団支援により再建 ※神宮支援繪材使用 |
八雲神社 | 石巻市鹿又字町浦 | |
朝臣宮 | 石巻市川口町 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
八雲神社 | 石巻市鹿又字町浦 | |
鹿嶋神社 | 石巻市桃生町樫崎鹿嶋 | |
蛤神社 | 石巻市桃浦字稗沢 | |
一景島神社 | 気仙沼市弁天町 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
八雲神社 | 気仙沼市赤岩牧沢 | |
羽山神社 | 白石市白川犬埣婆字引目田 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
湊神社 | 名取市閖上 | 株式会社創建支援による再建 |
神明社 | 岩沼市押分字須加原 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
神明社 | 岩沼市寺島字浜里 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
八幡神社 | 栗原市一迫字大川口不動西 | |
鳥合神社 | 栗原市栗駒片子沢青ノ沢 | |
五十瀬神社 | 栗原市栗駒猿飛来神明 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
鹽竃神社 | 東松島市大塚字長浜 | |
玉造神社 | 東松島市大曲字道下南 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
白鬚神社 | 東松島市野蒜字亀岡 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
石上神社 | 東松島市浜市字東浮足 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
八幡神社 | 東松島市宮戸 | |
羽山神社 | 大崎市古川馬櫛字羽山下 | |
鹿島神社 | 大崎市古川澤田字神守 | |
神明社 | 亘理郡亘理町吉田字須賀畑 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
八重垣神社 | 亘理郡山元町高瀬字笠野 | 日本財団支援により再建 |
青巣稲荷神社 | 亘理郡山元町山寺字浜 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
久須師神社 | 牡鹿郡女川町飯子浜字飯子 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
白山神社 | 牡鹿郡女川町女川浜字女川 | 日本財団支援により再建 |
二渡神社 | 牡鹿郡女川町小乗浜字向 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
二渡神社 | 牡鹿郡女川町高白浜字崎山 | 神社庁「社殿再建事業」により再建 |
戸倉神社 | 本吉郡南三陸町戸倉字戸倉 | 日本財団支援により再建 |
自分たちも自分たちの祖先もずっとこの土地で生活を営んできた。
神社やお寺がなくなったら、自分たちの根っこがなくなる気がする。
だから、自分たちがここで生きてきた証に神社とお寺は残ってほしい。
全国各地から届いた様々な支援物資は、「災害支援物資搬送ネットワーク」を構築し、「支援物資搬送拠点神社」を設置し、神道青年全国協議会や宮城県神道青年協議会、宮城県婦人神職協議会等とも連携し、炊き出しや災害復旧活動を行い、支援物資を被災地域に届けることに努めた。
全国から支援の手が差し伸べられ、神社関係社をはじめ様々な方々が社殿の再建に向けた活動や、仮社殿の設置、お祭り復興等の支援活動を戴いた。(写真は東京都・下谷神社阿部明徳宮司による仮社殿設置の様子)
仮設住宅などで不自由な生活を余儀なくされた被災者の方々に「ひとときの安らぎを」と、雅楽の夕べ「観月会」を県内神職有志と宮城野雅楽会の協力により県内8会場で開催した。
日本財団による支援による「みんなの鎮守の森植樹祭」やイオングループ「イオン株式会社」の支援により「鎮守の森づくり植樹祭」が県内各地で行われた。
宮城県神社庁をはじめ、神社庁各支部や関係友好団体、各神社では今日まで御霊が安らかなることを祈り慰霊祭や、一日も早い復興を祈り復興祈願祭を県内各地で斎行した。