人々は自身の信仰の深さを示すために、書き写したお経を神社やお寺に納めていました。その際に「納経受取」という書付と判をもらっていましたが、やがて帳面の形式になり参詣の日付を記入し判を押してもらうようになったといわれています。これが後に、納経をしなくても参拝の証を受けるように変化し、江戸時代には参詣した神社で「参拝の証」として神職に墨書して押印してもらうようになっていきました。
現在の御朱印のように、神社の朱印が中央に押される形は明治時代に普及したといわれており、大正・昭和の時代になり鉄道が発達すると「旅の思い出」として参拝した神社の御朱印を集めることが楽しまれるようになっていきました。
そもそも「御朱印」と呼ばれるようになったのは昭和に入ってからであり、それまでは「社印(しゃいん)」「印證(いんしょう)」「御判(ごはん)」「御印(みしるし)」などと呼ばれていました。
古来、日本では「印」は神聖なものと位置づけられてきました。
「印」が祭祀に関わっていた時代があることや、現在でも「印」を祀る神社があることがそれを表しています。
また、古くから神社やお寺では朱印を押した「牛玉宝印(ごおうほういん)」を厄除けの護符として頒布していたことから、「朱印」には神仏の力が宿るとも考えられていたのです。
このような歴史からもわかるように、「御朱印」は神様や人々の信仰心とともにあるからこそ意味があり、それゆえに神聖なものであるといえるでしょう。
御朱印は単なる“記念のスタンプ”ではないことはおわかり頂けたと思います。
「御朱印」が注目されたことで、御朱印集めを始める方が増えました。それと同時に、インターネット等で「御朱印」や
「御朱印帳」が転売されている事例が見受けられたり、御朱印に関係するトラブルも発生しています。
マナーを守って頂けないごく一部の方のために、場合によっては他の参拝者が御朱印を受けられなくなることもあります。
そうなってしまっては、皆さんも私たちも悲しい思いをすることになります。
ここ数年で、「御朱印」をきっかけに神社へ参拝に訪れる
方が日本各地で増えております。
神社への参拝はもちろんのこと、訪れた先でその土地の文化や歴史に
触れ、景色や風土を楽しむことは、人生を豊かなものにしてくれます。
あなたに、神様のご縁に恵まれた沢山の素敵な思い出ができることを心よりお祈りしております。